盲導犬Q&A・・・歴史と法律編・・・
Q 世界初の盲導犬が誕生したのはいつ頃ですか?
 確実な資料では、1819年、ウィーンの神父が犬の首輪に細長い棒を付けて、盲導犬として正式に訓練したのが最初とされています。その後1916年には、ドイツにおいて盲導犬育成の学校が発足。1923年にはポツダムに国立の盲導犬学校が設立され、第一次大戦の戦盲者の社会復帰に役立ちました。
Q 日本ではどうですか?
 1938年、米国からの旅行者が盲導犬を伴って日本に立ち寄ったのが、はじめての接触となりました。その後1939年には、四人の実業家が一頭ずつ訓練済みの盲導犬をドイツから輸入。これを陸軍に献納したという記録があります。そして1957年、現アイメイト協会理事長・塩屋賢一が育てた『チャンピィ』が、国産として初めての盲導犬となりました。
Q 外国に比べ、日本では盲導犬の数が足りないと聞きますが…
 日本には約35万人の法定盲人がいます。その約35%にあたる約12万人は全盲です。盲導犬の使用を希望すると考えられる人の数は、法定視覚障害者の1〜2%と推定されていますが、実際に使用しているのは約0.13%に過ぎません。確かに数は足りていませんが、米国や英国との比較を持ち出して論じることは、本質とは離れてしまっています。というのも、英国では視力が残っていても精神面のパートナーとして盲導犬を渡しているケースも多く、米国でも訓練する団体によって盲導犬の技術・能力はかなり異なります。一概には比較できないのです。数はもちろん大切ですが、全盲の方にとって本当に役立つかどうか、質を高めていく議論も必要だと私たちは考えます。
Q 盲導犬は、電車やバスに乗れますか?
 いまは乗車が認められています。以前は電車では貨物扱いにされたり、事前申請が必要でしたが、1977年から状況は少しずつ変化してきました。この年の春、国会に置いて盲導犬に関する質疑が行われ、史上初めて使用者と盲導犬(アイメイト)が議事を傍聴。この結果、国鉄(現JR)乗車の事前申請は解除され、自由乗車が実現したのです。これにともない、全国のバスも自由乗車が可能になりました。この動きは他の交通機関にも波及し、いまは航空会社・私鉄・私バスも搭乗・乗車を認めています
Q レストランやホテルはどうですか?
 1980年、環境庁より全国の国民宿舎に対して、「盲導犬使用者の宿泊」に協力するように通達が出されました。1982年には、厚生省環境衛生局からレストラン・喫茶店・旅館などに対して、盲導犬使用者への対応の仕方についての指導が行われました。もちろんこれらは強制力がないため、各飲食店・宿泊施設の考え方ひとつで受け入れは変わります。理解は確実に高まってはいますが、まだまだ入場を断られるケースもなくなってはいません。きちんと訓練された犬はぜったいに吠えたり噛み付いたりしませんし、じっとおとなくしています。犬の毛が落ちないようにプラッシングを入念にするなど、使用者自身もマナーを大切に考えています。こうした正しい認識が、もっと広まってほしいと思います。
Q その他、盲導犬に関する法律はありますか?
 いちばんの基本として、下記のような『盲導犬の定義』があります。この定義を前提に、1978年、道路交通法が改正され、国家公安委員会の指定を受けた法人を卒業した盲導犬使用者本人が、白色または黄色のハーネス(胴具)を付けた盲導犬と共に歩いているとき、車の運転者は、徐行または停止するように義務づけられました。盲導犬としての課程を修了しても、ハーネスを付けていない場合、または歩行指導を受けた使用者以外の人が伴った場合などは盲導犬とは認めていません。 ■盲導犬の定義■ 国または自治体が認めた公益法人において、5年以上の経験を持つ歩行指導員により十分訓練された犬が、使用を希望する盲人とともに法人の定める、4週間以上の歩行指導を終了した後、ハーネスをつけ、使用者証を所持した使用者本人と歩行する場合のみ盲導犬という。